私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回のテーマは「コミュニケーションは歪(ひず)んで伝わる」です。
このような経験はありませんか?
「ちゃんと伝えたはずなのに…」部下が指示と違うことをやっている
部下が「分かりました」と言ったから理解していると思っていたのに…
上司の指示通り仕事をしたのに、「そうじゃない」と言われた
上司は指示したと言われるが、「私はそんなこと聞いた覚えがない」
仕事でもプライベートでも、コミュニケーションにおいて誤解や真意が伝わらない(伝わらなかった)という経験は誰でもあると思います。
なぜ、そのようなことが起きるのでしょうか?どうすれば避けられるのか、考えてみたいと思います。
私は研修で、誤解や真意が伝わらないことを「コミュニケーションの歪み」と言っています。
歪みが生じる原因は、話し手と聴き手の間に聴き手の価値フィルターが介在するからです。聴き手の価値フィルターを通過することで、話しの内容に聴き手の解釈が加えられるので、話し手と聴き手の理解が違ったり、真意が伝わらないということが起きます。
会話をしていて、話し手と聴き手で共通の知識や判断に関わることは、おおむねそのまま真意が伝わります、同じ価値観ですから。
問題は、「共通でない知識や前提」がフィルターを通じて違う形に変化して聴き手に解釈される場合です。この時、聞き手は自身の価値に応じて話し手の内容に自分の知識や自分の判断、自分の経験を加えて理解しています。
結果、話し手の意図が歪んで伝わり、「伝えたこと」と「伝わったこと」が同じにならないのです。
では、どのように歪みを起こさないようにコミュニケーションすればいいのでしょうか。
ここでは大きく2つ提案します。
1つ目は前提を合わせるということです。
先ほども話し手と聴き手で共通の知識や判断はそのまま伝わるということでしたので、そのような前提をつくってコミュニケーションすることが大切です。自分にとって常識だと思っていることが、相手にも常識とは限らないことは、常識ですよね。だから意識して前提を揃えておくことが必要なのです。
特に年齢による世代間のギャップは私も感じます。私の世代での常識が、今のZ世代の若者にとっては非常識ということは多々ありますが、その世代の方々がもう新人として会社で一緒に働き始めています。「今の若者は常識がない!」というのではなく、考え方や価値観のどこが共通で、どこら辺が違うのか、お互いにすり合わせたいところです。
ビジネスにおいては、自分達が何をやろうとしているのか、自分が求められている役割は何か、自分はどこまでの役割を担っているのか、と言ったことを普段からチーム内で、もしくは上司と部下の間で話し共通の認識(前提)を持つようにしましょう。
前提と言うと、言葉選びも含みます。相手がわからない単語、誤解されそうな曖昧な表現なども避けるべきでしょう。「そんなつもりで言ったのではなかった」というのはよくある事です。
2つ目は、話しに至った根拠・理由(背景、話の目的)に着目するということです。
話し手も聴き手も双方に言えることですが、結論(もしくは主張)だけでなく、その結論に至った根拠や理由まで話す(聴く)べきです。そもそも根拠や理由にこそ、話し手の真意が表れるからです。
上司は部下に指示を出す時に「○○しなさい」で終わらないということです。「なぜなら△△だからです」と根拠まで説明すると、聴き手である部下も納得して指示に従います。また部下の側も「上司は何を求めて指示を出しているのか?何を求めているのか?」と考えると、自ずとその指示の理由、つまり上司の真意を確認することになります。そこでお互いのコミュニケーションが歪みなく伝わります。
日頃のビジネスコミュニケーションにおいて、お互いの真意が伝わっているか、歪んでいないか、振り返りたいものですね。
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