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目標達成のための量と質の問題

私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。

 

今回は「目標達成のための量と質の問題」というテーマでお届けします。新年度が始まり、新たな目標設定された方や新人営業パーソンも多いことでしょう、目標達成のためのひとつの考え方をお伝えします。

 

とりわけ営業職の方は、目標達成できたか、出来なかったかは明確です。数字でハッキリわかります。こんなわかりやすい職種はないと思いますが、ではなぜその結果になったのか?その理由を明確に答えられる営業パーソンは自分の仕事をしっかりコントロールできているといえるでしょう。

 

「結果を管理しても結果は変わらない。プロセスを管理しなければならない」と言います。ラッキーなこともアンラッキーなこともある中でセールス活動をするわけですが、結果だけをみて目標達成したから良し、未達だからダメというものではありませんよね。

 

結果(目標達成)を直接コントロールすることは難しいですが、営業パーソンは自分の営業プロセスはコントロールすることにより、間接的に結果をコントロールすることができます。そうでなければいつまでたっても、出たとこ勝負の営業活動で結果の見通しが立ちません。予想外なことが起こっても、ある程度リカバーして着地することができます。また営業プロセスを共有することで、売れる人と売れない人の『バラつき問題(属人化)』を防ぎ、強い組織にすることもできます。

 

営業プロセスは、目標から逆算して何をしないといけないのか行動を決めます。同時にその行動をどれぐらいしないといけないのか(量)と、どれぐらいの確率で次のプロセスに進めないといけないのか(質)もデータに基づき設定します。

 

一般的な営業プロセスを、『アプローチ→ヒアリング→プレゼンテーション→クロージング→契約』とします。

 

例えば、今月の目標を契約10件とすると、クロージングは14件必要、クロージング14件するためにはプレゼンテーションを20件しなければならない。プレゼンテーション20件するためにはヒアリングを30件しなければならない。ヒアリング30件するためにはアプローチを50件しなければならないとします。これが「量」の設定です。

 

この「量」は「質」によって決まります。つまり、今月10件契約するために14件のクロージングをしないといけないということは、クロージングから契約になる確率が70%だとこれまでのデータからわかるのです。この確率は営業スキルが上がれば、上がります。これが「質」の問題です。「質」が低ければ、たくさんの「量」を準備しないといけません。その逆もしかり。

 

「質」と「量」の関係は、ゴルフのパッティングに例えてお伝えしています。

 

パッティングでは、方向が合っていても距離が足りなければカップインしません。逆に距離はピッタリでも方向がズレていては、これまたカップインしません。方向と距離、どちらも重要です。

どちらの方向に打ち出すかは「質」です。カップまでの距離は「量」です。営業においても「質」と「量」はどちらも必要なのです。「質」は、何をすべきかよく考えることです。必要条件と言えます。「量」は、達成するまで活動するということです。十分条件と言えます。

 

目標達成のためには、「質」だけでもダメ、「量」だけでもダメ。二つ揃って必要十分条件となり、目標達成することができます。目標達成のための量と質の問題です。

 

営業パーソンの中には、ベテランになるほど成績が落ちる人がいます。そのような人は、仕事に慣れて営業としての「質」は向上しているのでしょうが、反面、スキルが上がっていることにあぐらをかき活動量が減っている、つまり「量」が低下していることが多いです。本来なら「質」が上がった分、同じ活動「量」でさらに成績を向上させるべきところを、残念な営業パーソンをたくさん見受けます。

実は私は反省を込めて書いています。私も残念な営業パーソンの一人でした。仕事に慣れてくると、楽に契約が上がり出し「ヤル気になればいつでも結果は出せる」と根拠のない勘違いをして足が止まりました。活動「量」が減ると、やはり成績は下がります。いったん下がった「量」をまた元に戻すのは本当に大変です。大きな球を転がすのに、最初が最も力が必要なように、いったん止まってしまうとなかなか元の活動量に戻りませんでした。

 

「質」が上がれば、それに合わせて目標を上方修正しさらに高みを目指し「量」をさらに増やすぐらいでちょうど良いと思います。

 

逆に、新人の方はまずは量を増やすことに注力してください。最初からうまくできませんので早く慣れるためにも量をこなす必要があります。「量・質 転換の法則」といって量が増えれば遅れて質が上がりますから信じて活動量を増やしましょう。

 

では量を増やすために最も必要なことは?それは次回にお伝えするとしましょう。

 

 

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